空の音響け(3月25日 雨)
先日最終回を迎えたアニメ『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』がとても面白かったのですが、困っています。というのも、何がそんなに面白かったのか。他の人に布教する時、このアニメはこういう内容だよと言える一言が、どうにも思いつかないのです。困っています。 ・音楽を習うために軍隊に入った女の子が、国境の砦で他の女の子たちと仲良く暮らす日常アニメ。 確かにソラノヲトは、彼女たちの食事や洗濯、買い出し、警邏といった日常生活を眺めているのがとても楽しいアニメです。スペインの城壁都市クエンカとアラルコン要塞をモデルにした背景美術や小物も美しく魅力的で、それを神戸監督の腰の据わったカメラワークで堪能出来るのですから、たまりません。とはいえ、ただ女の子がダラダラしてるだけの日常アニメと断ずる事は出来ません。五人の砦の乙女たちは、それぞれ何らかの影を心に抱えており(それは一見能天気に見える主人公のカナタでさえ)、決してぬるま湯のような日常を延々と映しているわけではないからです。 ・旧時代の遺物である多脚戦車タケミカヅチが、修理と整備を終え、最終回でついに起動して、その圧倒的な機動性を披露するアニメ。 タケミカヅチは砦に配備されている旧時代の多脚戦車です。修理中のこの戦車が、話数を重ねるごとに整備士ノエルの献身的な作業により徐々に修復されていき、最終回でようやく出撃する姿には興奮を禁じ得ません。徹甲弾でハンガーを吹き飛ばすタケミカヅチ! 六本の脚で山脈を駆け上るタケミカヅチ! ゼロ距離での砲撃に耐え、かかと落としを食らわせるタケミカヅチ! いけいけ僕らのタケミカヅチ! ……とはいえ、じゃあソラヲトが多脚戦車萌えアニメかというと、そういう側面もあるとは思いますが、決してそれだけのアニメでもないと思います。 ・任務と訓練を兼ねて、重い荷物を背負わされて目の光が消えた女の子たちが、険しい山を行軍しながら次第に壊れていくアニメ。 いけねぇこれはただの第五話のあらすじだ。 ・回線保守任務のため、主人公の女の子がおしっこに行きたいのをずっと我慢しながら、本部から電話がかかってくるのを待つアニメ。 いけねぇこれはただの第八話のあらすじだ。 ・敵軍の女兵士を捕らえ、そのたわわな褐色おっぱいを揉みしだくアニメ。 ……もうこれでいいんじゃないかな。『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』はそんなアニメです。