2021年にプロバイダの変更に伴いホームページを移転して、なかなか大掛かりな引越し作業を行なったのですが、引越し先のサイトがかなり大規模な無料サービスの削減を行い、ページの表示自体にも不具合が出るようになったため、2024年の年末も押し迫った12月に、ふたたび大掛かりな引越し作業を行う運びとなりました。つかれた。 アーカイブを見てもらえばわかる通り、昨今は日記の更新も年に1〜2回程度、もっぱらX(頑なにTwitterと呼んでいたが、仕様とトレンドなどが変わりすぎて、もやはTwitterではないので、あらためてXと呼ぶようになった)とかFANBOXでの更新ばかりなわけですが、さりとて仕事の窓口として置いておく必要もあるのと、あと地味に自作の仕事リストがたいへん便利なので、なんとか今後も存続させていければ…という感じです。 最近は電車での移動中に、以前買った文庫『完全版 マンガ水木しげる伝』を再読していました。水木漫画は全く通っていなく、高校生の頃に読んだ駕籠真太郎『喜劇駅前虐殺』に「フハッ」「ヘッホウ」という擬音が登場し、巻末の解説で初めて「フハッ」が水木漫画独特の表現だと知りました。だからその前に読んだ『菫画報』で「フハッ」というコマがあっても、それが水木しげるのパロディだとは全く気付かなかったのです。 『マンガ水木しげる伝』は分厚い文庫3冊に分かれており、おもに「幼少期」「戦争期」「貸本時代」「ヒット後」の4部に分けることができると思います。「幼少期」は風変わりな少年・しげるの子供時代の思い出。「戦争期」はそれこそ南方戦線での悲惨な現実。「貸本時代」は紙芝居→貸本→雑誌と、戦後のマンガ界を渡り歩いた貧乏時代のエピソードで、「ヒット後」は人気作家になった後の多忙な生活と南方・妖怪への憧れが描かれています。どれもそれぞれに味があり、読み応えがある=言い換えれば時間を潰せるため、移動中に読むのにもってこいでした。 そんな中でも一番好きなのは、やはり「貸本時代」のエピソードでしょうか。 戦後の貸本ブームの時代というのは『まんが道』でも少し触れられ、辰巳ヨシヒロ『劇画漂流』では大きく取り上げられていたため多少は知っていましたが、水木氏のそれはとにかく金がない描写に終始し、馬車馬のように働いているのに金がなく、それでいて不動産屋だの大蔵省だのの理不尽が襲...