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ジゼルとエステルの話(12月14日 快晴)

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12月13日が双子の日、ということで、双子まんが『ジゼルとエステル』を公開しました。前々から何度か話していますが、このまんがは月刊コミックビームに掲載されたもので、当時ビームが外様の新人にたいそう厳しく、16ページのまんがしか載せる余裕はないと言われ、更に担当氏から「16ページで、読んだ人間が一生忘れられない内容のものを描いてくれ」とのオーダーがあり、デビュー前の新人になんて無茶を言いやがるんだと頭をかかえたものです。そのまま深夜の道路を自転車で一時間ほど駆け抜け健康ランドのサウナに入り、『ネタがまとまるまで外に出ない』という荒業を繰り返して生まれたのがこの漫画になります。すべて実話です。死ぬかと思った。 今回公開したやつは生原から作ったやつなんで印刷で潰れたり消えてた線が全部出ててたいへん綺麗になっています。そもそも印刷で消えるような線を引くなという。あと写植してて気づいたんですけど、当時は完全に頭のなかに映像ができてて、その映像を紙に書き写すみたいなやり方で漫画かいてますね。だからネームがかなり「話し言葉」だなあと。今は漫画は「読み物」だと思って描いているので、ネームもかなり「書き言葉」になってます。現実的な生っぽいセリフのやりとり、よりも、目で追って読んでて楽しいかどうかを優先させています。そういう違いも面白いですね。 とはいえ16ページで収まる話では到底なかったわけで、まあ「物語のテンションが最高潮になった瞬間にバサっと幕を降ろす」という技法を早めに習得できたのはよかったんですけど、それにしてもあんまりにもあんまりなので、この話はすぐに続きを考えたのですが、描くタイミングを逃したまま13年くらい過ぎてしまいました。話は完全にできてるんですけどね。ついでに次に描きたい話にも双子が出てくる形になりそうなので、そこと対比させて登場させてやってしまうのも…と、いろいろとプランは進んでます。頭の中で。頭の中だけで。頭の中だけで完成したんで世に出してない漫画が何倍もある人生です(←ダメダメな漫画家志望者っぽい)。ツイッターの方で公開したら「人を選ぶまんがだから~」という感想をちらほら見かけて、まあ題材的にはそういう面はあるかもしれないですけど、興味のない人やこういうの趣味じゃない人にも読ませるのが作家の技量というもので、そういう面では「人を選ぶまんが」と言われてしまった...

女衒屋グエン(9月20日 曇)

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日向夏さんの小説『女衒屋グエン』が発売されました。装画担当として、表紙・ソデほか、本編挿絵を8枚描きました。全てフルカラーで印刷されてます。 最初は「表紙と、本編挿絵を3枚程度」というお話で、そのくらいならまあ…と思ったのですが、原稿を頂いて読んでみると、5章仕立てで、それぞれの章にメインとなる妓女がいるんですよね。なので最低5枚は描かないといけない。加えて日向さんと編集さんの双方から「クライマックスのシーンを是非」との要望があり、確かにこの小説に挿絵をつけるなら、このシーンを外してなんとするという場面があるので、そこを見開きで2枚。そうなるとエピローグにもう1枚欲しい。というわけで結局、本編挿絵は8枚描くことになりました。がんばりました。 ちなみに妓女は「ぎじょ」と読みます。お金をもらって男性の相手をするのがお仕事なのですが、いわゆる遊女や娼婦とはひとくくりに出来ない職業のようで、そこらへんは本編をお読みいただければと思います。この妓女たちが暮らし、客の男たちが訪れる建物を「妓館」と言い、物語の舞台は堀中と呼ばれる、妓館が立ち並ぶ運河沿いの街です。この街は科挙(中国の高官。もんのすごい倍率の高い試験で、合格するのめっちゃ大変なやつ)の試験会場に近いので、科挙の人々はもちろんのこと、その試験を受けに来る将来の高官候補の若人なんかで溢れるわけでして、そのへん、もう街の存在自体が面白い。そういう場所で暮らす妓女たちの物語です。 中国はなぜだか昔から興味が湧かなくて、ほぼ描いたことがありませんでした。作中に出てくる楽器、二胡と三弦の違いもわかりません。弦の本数が違うだけじゃないの? とはいえ、この機に描いてみるのも面白いかと思って、中国のAmazonで書籍を注文したり、図書館で参考になりそうな本を見繕ったり、神保町にある中国書籍専門店に足を運んだり、ネットで検索して中国の博物館のサイトやオークションサイト(当時の骨董品がいろいろ出品されてる)を覗いたりして、いろいろ調べました。まあ完全に泥縄なんで全然調べ切れなかったですけれども、面白かったし良い経験でした。二胡と三弦の違いがわかるようになりました。雑に言うと、二胡はバイオリンで三弦はギター。 あとは、作中で一琳というキャラが宝くじを買うシーンがあるんですが、そこはぜひ描きたかったので、当時の宝くじってどんなものなの?って...