石の漫画(1月8日 晴)
ところで、石を題材にした漫画というのは、意外に少ないような気がします。有名なのは「無能の人」ですが、もっとこう、地学部マンガとかあってもいいと思うんです。人生に疲れたり、あるいは迷ったりしているクラスメイトや先生、近所の人、京都の大富豪、外国人落語家などを、地学部に所属する主人公が豊富な石の知識で救うという、そんなハートフルな人情鉱物漫画。
「ごらんなさい、この広大な鍾乳石群を」
「Oh.ワンダホー。こんなスバらしいケシキはハジメテデース」
「これができるまで、どれだけの時間がかかるかわかりますか? 水分に含まれるわずかな炭酸カルシウムが、天井から垂れる際に次第に、次第に結びつき、成長していく。わずか数センチ育つのに、何百年もかかると言われています」
「ソンナニ」
「たかが1年や2年の努力が報われなかったからって、何だというんです。努力とは、積み重ねだ。一朝一夕で得られるものなどないんですよ」
「石岡サン・・・」
とか。
「ごらんなさい、この見事な桜石を」
「見事や、なんとまぁ、美しい満開の桜や! 冬に桜を見せろっちゅう、わいの無理難題に、こんな答えがあったやなんて」
「桜石の模様がどうやって生まれるか知ってますか。ホルンフェルス中に生成した菫青石が変質し、絹雲母や緑泥石になって出来るのです。そうした偶然が幾つも幾つも重なって、美しい桜となるのです。そう、あなたと奥様が、あの日あの桜の下で出会ったような偶然が重なってね」
「石岡はん・・・」
そんな漫画。誰か描いてくれないでしょうか。