最近読んだ本の中では「おかしな二人 岡嶋二人盛衰記」が群を抜いて面白かったです。小説などまるで書いた事のなかった二人が、
「乱歩賞を取れば印税が貰えて小説家になれる!」と、
創作意欲からではなく就職活動として推理小説を書き始め、コンビの小説家「岡嶋二人」としてデビューし、そしてその後のコンビ解消に至るまでを綴った作品です。違った個性を持つ二人の人間が出会い、そして別れるまでを描いた小説として読んでも非常に面白いのですが、小説を書くにおいてぶつかる諸問題とそれを解決する具体的な方法もふんだんに記述されていて、創作する側の人間としてもとても参考になりました。
岡嶋二人と言えばドラマで見た「クラインの壷」が面白かったので原作を買い他にもう何作かを読んでいて、かなり多作なイメージがあったので、「ああ二人だとアイディアもバンバン出るし執筆速度も2倍だし、そりゃ量産できるよな」とか勝手に思っていたのですが、これを読むと執筆当時の苦吟が伝わってきて、本当に勝手な事思っててごめんなさいと思いました。