A先生とF先生

少し前の話ですが、藤子不二雄ファンサークル『ネオ・ユートピア』の会誌に寄稿しました。藤子不二雄Ⓐ先生の追悼号で、一度だけご縁があって、Ⓐ先生とさいとう・たかを先生のツーショットを目撃した話になります。



 Ⓐ先生の作品への熱い思いや作品解説、トキワ荘や仕事場周りの話などは、それこそ自分などよりも遥かに詳しい方々が書くだろうから、自分にしか書けない話として、晩年のⒶ先生の目撃譚になりました。これはこれで、なかなか貴重な話になったのではないかと思います。通販でも取り扱っているそうなので、興味のある方はこちらのサイトからご確認ください。

 自分の想い出で言うと、幼稚園の時に初めて描いた漫画が、ドラえもんの二次創作でした。大長編のクライマックスで、ドラえもんがのび太をかばって死んで、のび太が敵に自爆して終わるやつ。同じ頃に「ハットリくん」も読んで、笑うよりも怖い漫画だと思った記憶があります。その後、小中学校の近くにあった公民館内の図書館に、愛蔵版の藤子不二雄SF全集とまんが道が置いてあったので、どっぷりリピートしてハマり込むことになります。あと手塚治虫の火の鳥とアドルフに告ぐとシュマリと奇子とハトよ天までも読み漁った。

それからⒶ先生については、もうひとつ思い出が。某漫画家さんのところで初めてアシスタントに行ったとき、隣の席にいた別のアシさんがⒶプロダクション出身の方した。その方は街を歩いていたら偶然Ⓐ先生に出くわして、「ファンです!」と挨拶したあと自分も漫画を描いていることを告げたら、その場で「じゃあ、うちで働かない?」とスカウトされ、アシスタントとして働くことになったそうです。Ⓐ先生のおおらかさ、人の良さと社交性が伺えるエピソードだなあと思いました。

そんなこんなでⒶ先生、F先生の藤子両氏に想いを馳せていたせいか、つい先日、夢枕に藤子先生が出てきたんですよ。それも両先生そろったオールスターで。場所はⒶ先生の仕事場で、自分はアシスタントでⒶ先生の原稿を手伝っている状況。目の前のすぐ、向かいの机でⒶ先生はバリバリ原稿を描いていて、こちらはその原稿をチェックしながら仕上げ作業をする。隣にはなぜかF先生が座っており、Ⓐ先生の原稿をパラパラ見ながらニヤニヤしているご様子。漫画の内容はⒶ先生の過去の赤裸々なエピソードで、読みながら『確かにこんな過去のエピソードは、これまでⒶ先生が描いてきたことはなかったからな、新境地だ!』などと思うのだけれども、その脳内からはぽっかりと『まんが道』の存在が抜けている。夢って往々にしてこういうことが起こりますよね。で、ある程度仕事をしたあと、Ⓐ先生とF先生はパーティーだか旅行だかに出かけるのでと仕事場を後にして、こちらは「じゃ、後は頼むよ」と原稿を託される始末。Ⓐ先生はいつものオシャレなジャケットで、いっぽうのF先生は細身の体に艶のあるシックなスーツを着込んで玄関を出ていった姿をよく覚えています。そのあとドタドタと仕事場に、居残りの雑用をする人が入ってきたところで目が覚めました。どんな夢じゃ。

まあ夢なんてしょせん個人の脳内の情報整理でしかないんですが、それでも、Ⓐ先生とF先生がふたり一緒に、そこらの漫画家の頭の中を転々と遊び歩いて原稿を手伝わせていると思うと、ちょっとニヤニヤしちゃいますね。これはちょっと、どこかに書いて残しておきたい夢だったので、この日記に書いておきます。手塚先生とかもそのうち遊びに来てくれないかな。

ちなみに今、藤子・F・不二雄ミュージアムで『ミノタウロスの皿』などの原画展をやっているんですが、お土産に買える絵皿が最高なので、お近くの方はぜひ行ってみてください。

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